祝い箸とは
祝い箸:いわいはし/いわいばし
祝い箸の長さは八寸(約24センチ)で、両端が細くなるように削った丸箸を言い、柳の木で作られています。
祝い箸は縁起が良いといわれる由来は「末広がりの八寸」と言う部分にあります。
末広がりとは、本来は扇(おうぎ)の異称で「八」と言う字が扇の形に似て、下に向け次第に広がっていく事から「末広がり」と呼ばれるようになったと言われています。
また、日本や中国で「八」は幸運の数字といわれています。
八、8は古代日本において聖数とされていて漠然と数が大きいことを示す時にも使われていました。
よく聞くのは、八百万(やおよろず)でしょうか。
はっぴゃくまんと書きますが、本当にその数というわけではなく「数え切れないくらいたくさんいる」事を言います。
現代だと7の数字が幸運と呼ばれていますが、元々7が幸運の数字と言われていたのは英語圏からでした。
日本に浸透したのは戦後のアメリカからの影響が強く、よく耳にする「ラッキーセブン」と言うのは野球由来なんですよ。
祝い箸の別名
「両口箸(りょうくちばし)」「柳箸(やなぎばし)」「俵箸(たわらばし)」とも呼ばれ、それぞれの呼称にも由来があります。
- 両口箸(りょうくちばし)
祝い箸は両端が細く作られています。
片方は、人が食べるために使い、もう一方は神様が食べるために両方使えるように考えられ、この考えを「神人共食(しんじんきょうしょく)」といいます。
「お供え物した祝い膳を、神様に感謝し、人がいただくことでご利益を得る」という意味があります。 - 柳箸(やなぎばし)
祝い箸は「丈夫でしなやかな柳の木」で作られています。
柳の木は、雪が積もっても折れないと言われているほどで、万が一祝いの席でお箸が折れる事がないよう丈夫でしなやかな材料を使うことで縁起をかついでいます。
また、柳の木は水で清められた神聖な木として縁起がいいとされ、白木の香りが邪気を祓うといわれています。 - 俵箸(たわらばし)
祝い箸は中央が膨らみ、米俵に見えることから五穀豊穣を願い俵箸と呼ばれています。
また、子孫繁栄を表す「はらみ箸」や「太箸(ふとばし)」などと呼ばれることもあります。
祝い箸の使い方
お正月の祝い箸にもいくつか作法があります。
箸袋に名前を書くのは大晦日
大晦日に家長が家族の名前をそれぞれ書き入れ、箸を入れて神棚に供えておくのが習わし。
名前を記入する場所は箸袋の表、寿の下にあいたスペースに書きます。
関東や関西で上下が違っていたり、デザインによっては記入しにくい場所もあったりするので、わかりやすく書ける所があれば大丈夫のようです。
- 家長本人のものは「主人」と書きます
- 家族のものは誰のものかわかるように「名前」を書きます
- 来客用は、「上」と書きます
- 取り分けをする際に使う取り箸には「海山(うみやま)」「組重(くみじゅう)」と書きます
海山と書くのは主に関東地域で、関西地域、特に京都では「海山」ではなく「組重」と書く場合もあります。
「海山」は、歳神様(としがみさま)・歳徳神(としとくしん)にお供えしたおせち料理を家族全員でいただくという神事の名残といわれています。
「組重」は、おせち料理が重箱に入れられるようになったことから由来し、壱の重、弐の重、参の重などから「組重」を意味しています。
せっかくなので名前を記入する位置を参考までに書いてみました。
必ずこの位置と言うことはなさそうなので、見栄え良く書けたらいいと思います。
祝い箸は使うまで神棚にお供えしておく
神棚に供える際は、箸袋に祝い箸を一膳ずつ入れ、大晦日のうちに神棚にお供えしておきます。
ただ、最近では神棚のないご家庭が多くなりました。
神棚がない場合は、鏡餅のそばにお供えしておけばいいそうですよ。
元旦に使用する際は、家長がお供えしていた箸を下ろします。
祝い箸は正月『三が日』は同じ箸を使う
元旦に使った祝い箸は、食べ終わったら自分で洗い清め、箸袋に戻し松の内(1月7日まで)は同じ箸を使うのが正しい作法。
ただ「おせち料理やお雑煮は三が日だけ」というご家庭は三が日だけでもよさそうです。
地域によっては、洗わずに毎回、使うこともあるようですが、使用しなかった先端を洗わないと言われていた事がどこかでくい違ったのではないかといわれています。
衛生面的にオススメはできませんので、使用した方の箸先は熱湯で洗ったあとしっかり乾かして箸袋に戻しましょう。
「使ってない反対側を使ったらいいじゃないか?」と思われるでしょうが、使わなかった反対側は神様が使うため、持ち替えて使うのはマナー違反とされています。
また使用しなかった先端は、ご利益が流れるという理由から洗わないそうなので、ご利益を流してしまわないようお気をつけくださいね。
祝い箸はどう処分したらいいの?
祝いの席を過ごした祝い箸は、縁起ものですので、ふつうにゴミ袋へ捨ててしまうのはダメです!
基本は、注連縄など神社でお炊き上げしていただく際に一緒に持って行くことをオススメします。
どうしてもご家庭で処分される場合は、お塩で清めてから処分されるといいと思います。
いかがでしたか?
おせちやお正月の関連で調べていくと、日本の伝統や縁起かつぎの由来、作法などさまざまあり、全部こなしていた昔の人はすごいなと関心してしまいます。
今、行うと大変なことばかりだと思いますが、出来ることから取り入れ、少しでも晴れの日をよりよく過ごしていただけたらと思います。
私も今年は実践して、さらなるご利益にあやかりたいものです。
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