この記事の目次
おせち料理の由来、起源は弥生時代
おせち料理の起源は2000年以上前の弥生時代、自然の恵みや収穫に感謝して神様に供物をおそなえしたものを節供(せっく)と言い、供えたものを料理して大漁や豊作を願い自然の恵みに感謝して食べた料理を節供料理と言うことから始まります。
中国から節句の行事が伝わると宮中では元旦や五節句の宮廷行事である節日(せちにち)の際に節会(せちえ)と言われる宴が催されるようになります。
節会で神様に供え、振舞われた料理を御節供(おせちく)といい、デパートなど一般的におせち料理が市販されるようになった際、おせちと略されるようになり、一般的に正月料理のことを指すようになりました。
おせち料理を重箱に詰める意味
おせち料理は、めでたいことを重ねると言う意味で、重箱に詰められます。
段数は基本4段
一の重 | 黒豆、数の子、田作り、叩きごぼう など | 基本的な三種「祝い肴(いわいざかな)」 |
---|---|---|
二の重 | 伊達巻や栗きんとん、なます など | 甘いもの中心の「口取り・酢の物」 |
三の重 | 海老、鰤、鯛、アワビ など | 海の幸中心の「焼き物」 |
与の重 | レンコン、里芋、こんにゃく など | 山の幸中心の「煮物」 |
が主な内容です。
三段お重の場合は、一の重に祝い肴・口取り、二の重に焼き物・酢の物、三の重に煮物となります。
四は死を連想させ縁起が悪いので「与の重」と呼ばれています。病院で4(死)や9(苦るしい)の部屋番号がないことと同じですね。
また、五段目の五の重があり、諸説ありますが基本はカラ。なにも入っていません。
空けておく理由は「将来発展の余地」や「まだまだ幸せを詰められますよ」と言う意味があります。
またお重に入りきらない料理を入れておく予備のお重、お雑煮の椀種(わんだね:お吸い物の具材のこと)を入れておく場所です。
おせち料理に込められた意味
「黒豆・数の子・田作りまたは叩きごぼう」があれば、おせちの形としては十分です。
関西、関東によって祝い肴三種の内容が変わり、昆布巻きや叩きごぼうが与の重に入ることもあるようです。
おせちの料理には、一品ずつ、おめでたい意味が込められ、シャレの聞いた縁起かつぎが多く意味を知って「なるほど!うまい!」と思うことがよくあります。
地域によって、いろいろなおせち料理がありますので、今回は基本的なお品だけをご紹介します。
一の重・祝い肴三種
黒豆
黒豆には「健康長寿」「厄除け」の意味があります。
「まめ」と言う言葉には元来「丈夫」「健康」を意味し「まめ」に働き「まめ」に暮らせるようにと語呂合わせからも来ています。また「長生き出来ますように」と言う意味があります。
関東と関西では調理方法や意味合いがちょっと違うようです。関西では「シワがよらないよう、長生き」できますようにと、丸くふっくらと甘く煮立て、関東では「シワが寄るまで、長生き」できますようにと、わざとシワが出来るまで煮立てます。そして黒は魔除けの色と言われており「邪気や災いをはらう色」と言われています。
数の子には「子宝」「子孫繁栄の象徴」の意味があります。
数の子の原材料は「ニシンの卵」です。二親(にしん)から多くの子が産まれるのでおめでたいと言われています。
田作り
田作りには「豊作・五穀豊穣(ごこくほうじょう)」「子宝」「健康」の意味があります。
田作りは片口イワシの稚魚(ちぎょ)を乾燥させ煎って砂糖、醤油、みりんなどで甘辛く煮詰め、味付けした汁とからめた醤油風味の飴煮・甘露煮の佃煮料理です。
「五万米」の字を当て「ごまめ」とも呼ばれ、表面が銀紺色に輝き、頭やしっぽ、形が残っているものが良品とされています。昔、小魚を肥料として田畑に撒いた事が名前の由来です。
叩きごぼう
叩きごぼうは地中にまっすぐ根を張ることから家(家族・家業など)がしっかり根を張り堅固であるよう「安泰」を祈り、おせち料理に使われています。
また別名、開きごぼうと言われるため「開運」や色や形が黒い瑞鶏に似ていることから「豊作」を願う意味もあります。
ごぼうには悪い血を取り去る効能や、食物繊維を豊富に含み美容・健康に良い食材とも言われています。宮中で配られる花びら餅(和菓子)の芯にもごぼうが用いられていたそうです。
二の重・口取り
伊達巻
伊達巻は卵が使われ、抱き込むように渦をえがいた丸い形なので「子孫繁栄の象徴」として伝わっています。
他にも大事な文書や絵画は巻物にし、家宝にしていた事から「知性の象徴」や「価値の高いもの」とされ、おせち料理に巻き物が多いとも言われています。また「伊達」と言う名前には、江戸時代に長崎に伝わった「カステラかまぼこ」と言う洒落た料理が、当時「伊達者」と呼ばれたお洒落な人が着ていた着物の模様に似ていた事から「伊達巻き」と呼ばれるようになったようです。黄色は金色に似て豪華さを表すことから「華やかさのある縁起物」と呼ばれているそうですよ。
紅白かまぼこ
紅白かまぼこは「日の出」を象徴し、紅白は「祝いの色」と言われています。
紅は「魔除け」「めでたさと慶び」を、白は「浄化」「神聖さ」を表しています。かまぼこを詰める時は「右側を紅」と言うちょっとした決まりがあります。由来は古代中国の陰陽説の「右紅左白(うこう さはく)」から。向かって右側を華やかな色にする決まり事があり、華やかなおひなさまも同じ由来から右側に飾るのが慣わしです。
栗きんとん
栗きんとんは黄金色に輝く財宝にたとえ「豊かさ」を願う山の幸の代表格と言われています。また勝ち栗といって「勝負運を願う」意味もあります。
昆布巻き
昆布巻きは「養老昆布(ようろうこんぶ)」を「喜ぶ」の言葉にかけ「健康長寿」の意味があります。
正月飾りにも用いられ、一家発展の縁起ものとしておせち料理になくてはならないものです。
紅白なます
紅白なますはお祝いの水引をかたどったもので、生の魚介とダイコン、ニンジンとお酢で作ったので「なます」と呼ばれます。
ダイコンとニンジンの色で紅白をあらわし「平安」「平和」を願うおめでたい料理として定番です。
三の重・焼き物
海老
海老(えび)には腰が曲がるまで長生きしますように、と「長寿」を願う象徴です。
海老のあざやかな朱色は魔除けの意味もあり、色が晴れやかなのでおせち料理に用いられている説もあります。
鰤(ぶり)
鰤は成長とともに名前が変わる出世魚なので「出世」を願って食べられます。
ブリになるまでに大きさによって全国で様々な名前があり、福岡ではブリになる手前は「ハマチ」と呼びます。お正月はブリの値段が高くなるのでハマチで…なんてことも。
鯛(たい)
鯛は「めでたい」の語呂合わせから来ています。
鯛の体の色は鮮やかなピンク色で縁起がいいと考えられ、おめでたい紅白を連想させます。ときに鯛は40年以上生きるほど寿命が長く、栄養価も他の魚に比べて高いので祝いの席を飾るにもってこいの魚ですね。
与の重・煮物
煮しめ・筑前煮は様々な食材が入っていることから「家族が仲良くいっしょに結ばれる」と言う意味があります。また具材ひとつひとつにも意味があります。
里芋は親芋にたくさんの小芋がなることから「子宝」を願っています。
レンコンは穴があいているので「先を見通せるように」という意味があります。
くわいは最初に大きな芽が出てめでたいことから「出世」の象徴になっています。
他に黄色に色づけすることで「金運」や昔の仮名遣いで「か」を「くわ」と書いたことから「くわい → かい → 快」と、「一年を快く過ごすことができるように」という説もあります。(※快く:こころよく、気持ちよくなど晴れやかな気分を意味します。)
しいたけは「元気」「壮健」への願いが込められています。
昔、しいたけは珍しいもので神様へのお供えものとして大切にされていました。また下級の兵士が被っていた、かぶとに見立て「陣笠椎茸」とも言われ、武家社会の名残だそうです。
豆腐・高野豆腐は煮含めた豆腐に焼き目をつけ楯に見立て「家が守られるように」という願いがあります。こちらも武家社会の名残のようです。
手綱こんにゃくはこんにゃくを手綱にみたて「手綱を締めて心を引き締め、己に厳しく戦いに備える心をやしなう」意味があります。こちらも武家社会の名残ですね。
梅香ニンジンの由来は、梅は花が咲くと「必ず実を結ぶ」ということから縁起物だそうです。
たけのこは成長が早いため「子供の成長」や「家の繁栄」を願っています。
他にも昆布やごぼうなども入っていることもあるそうです。
彩りに「さやえんどう」を乗せると素敵ですよね!
いかがでしたか?おせち料理の由来について「なるほど」と思ったことはありましたか?
調べてみると本当いろいろあって、お重の詰め方や仕切り方にも様々、料理の品に込められた意味も多く昔の人の考え方はひと味違うと感じました。
料理だけではなく、道具や作法などもたくさんありましたので、またお正月特集としてご紹介したいと思います。
最新情報をお届けします