まずは敵を知ろう!原因と対策はこれ!
食中毒の原因として細菌やウイルスが挙げられますが、
夏に多く見られるのが細菌、冬に多く見られるのがウイルスによるものです。
これからどんどん夏の季節になりますので、
特に細菌に注意していきたいですよね。
それぞれの対策と併せて、菌の種類を見てみましょう。
サルモネラ属菌
動物の腸管や川などの自然界に広く分布しており、燥乾に強いです。
潜伏期は6~72時間、症状としては悪心・嘔吐・下痢・腹痛・38℃以上の発熱等が見られます。※潜伏期…病原体が体内に侵入(感染)してから発病するまでの期間
(胃腸炎を呈す場合…悪心・嘔吐に始まり38℃以上の発熱・腹痛・ 水様便が出現し3~4日続く)原因としては、鶏卵・その加工食品(マヨネーズ等)、食肉(牛レバー刺し・鶏肉)、 うなぎ、すっぽん、乾燥イカ菓子 他にもミドリガメ・犬・猫などのペットに接触後の食事等が挙げられます。
■対策
・肉や卵は十分に加熱(中心温度75℃で1分間以上)を行う
・卵は冷蔵保存。卵の生食は新鮮な物に限る
・調理器具はしっかり洗い、熱湯や次亜鉛酸ナトリウム、消毒用エタノールで消毒
・生肉を触ったら手を洗い消毒を行ってから他の食品を扱う
腸管出血性大腸菌
牛や豚などの家畜の腸内にいる病原性大腸菌の一つで、中でも O-157が有名です。
毒性の強いベロ毒素を産生し強い食中毒症状を引き起こします。潜伏期は3~5日、症状としては頻回の水様便で発症、続いて激しい腹痛と血便等が見られ、
5歳以下の小児または高齢者に好発しています。原因としては食肉の生食、加熱不十分な食品の摂取が挙げられます。
■対策
加熱が有効であるため、十分な加熱(中心温度75℃で1分間以上)を行う
腸炎ビブリオ菌
塩分を好む「好塩菌」で海水や海底の泥に存在し、海水の温度や気温が 上昇すると大量に増殖します。
潜伏期は8~24時間、症状としては腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐等が見られます。原因としては、腸炎ビブリオのついた生魚などをそのままにしておくことが挙げられ、
そのままにしておくことで細菌が急速に増加してしまいます。
■対策
・腸炎ビブリオ菌は4℃以下で増殖しないため、4℃以下での保存を行う
・調理する際には真水で流し、しっかり洗浄する
・熱に弱いので、加熱調理を行う
・まな板、包丁の消毒
・サラダなど生で食べる食材に、生魚の肉汁などが飛び散らないように気をつける
カンピロバクター
細菌性の食中毒の中では最も高率に見られます。
潜伏期は1~7日と長く、症状としては発熱、頭痛、腹痛、下痢等が見られます。家畜の腸管に高率で棲息し特に鶏肉で発症する例が多く、原因としては食肉の生食や 加熱不十分な食品で経口感染が挙げられます。
(特に鶏肉で鳥レバーやささみ等の刺身、鶏肉のタタキ)
■対策
・十分な加熱(中心温度75℃で1分間以上)
・生肉に触れた手や調理器具はしっかり洗い消毒を行う
・サラダなど生で食べる食材に、生魚の肉汁などが飛び散らないよう気をつける
黄色ブドウ球菌
ブドウ球菌の名前は、ブドウの房状に配列が似ていることから。
黄色ブドウ球菌自体は鼻腔、腸管に常在(約30%)し、
毒素エンテロトキシン(腸毒素)を産生します。潜伏期は1~5時間(平均約3時間)と細菌系食中毒の中で最短であり、
症状としては吐き気、嘔吐、腹痛、下痢等が挙げられ、発熱はなく回復も早いです。原因としては弁当、おにぎり、シュークリーム等の素手が比較的触れやすい物が挙げられます。
■対策
・手指、調理器具の洗浄殺菌。
・エンテロトキシンは100℃の加熱でも失活しないため、食前加熱は無効
(黄色ブドウ球菌を殺すことはできるが肝心の毒素は失活しない)
・おにぎり等を作る際にラップで包み、直接触らない
・調理する人の手指に傷があったり傷口が化膿している場合は、調理を控えるか手袋を使用しましょう
ウェルシュ菌
人や動物の腸管、土壌に広く生息する細菌です。
潜伏期間は6~18時間、症状としては腹痛、下痢が見られます。酸素のないところを好むため、原因としてはカレーやシチューなど煮込み料理が挙げられます。
[調理中]100℃ 100℃の高温にも芽胞の状態で耐える。 ↓ [徐々に冷却]40~50℃ ウェルシュ菌の至適温度に。酸素が追い出された環境で増殖する。 ↓ [冷蔵庫で保存]5~10℃ 芽胞に戻る時エンテロトキシン(腸管毒)を産生。 ↓ [軽く温め直し]40~50℃ 再び発芽・増殖。 ↓ [食卓] 大量に増殖した栄養型の菌体は腸内で再び芽胞になり、このときエンテロトキシン(腸管毒)を産生する。 |
■対策
・食べる時は、よくかき混ぜながら100℃で再加熱しましょう。
・調理後、鍋のままゆっくり冷ますと菌の増殖に繋がるので、小分けにし速やかに冷却しましょう。
ボツリヌス菌
土壌中や河川、動物の腸管など自然界に広く生し、酸素のないところで増殖します。
熱にきわめて強い耐熱性の芽胞を形成し毒性の強い神経毒を作り出します。潜伏期間は8~36時間、症状としては眼瞼下垂、複視、散瞳、羞名を訴え、
次いで嚥下困難、発後困難が出現。次第に四肢麻痺、呼吸困難が増強します。原因としては酸素の少なくなる真空パック製品(辛子蓮根やレトルト食品)、瓶詰め食品、いずし等が挙げられます。
■対策
・容器が膨張している缶詰や真空パック食品は菌が増殖している可能性があるため、食べない。
・包装の表示を確認し、適切な保存や調理を行う
食中毒を防ぐ6つのポイント
それぞれ菌ごとに対策をご紹介しましたが、
具体的に、普段の生活で何をすればいいのかをまとめたポイントをご紹介します。
料理を作るときだけでなく、
食べ物を買いに行く時から既に気をつけられるポイントがありますので
自分の行動を振り返りつつチェックしてみてください。
※「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」(厚生労働省)を元に作成
いかがでしょうか?
基本の手洗いはもちろんですが、食べ物の保存方法や下準備等、
工夫できるポイントは意外とたくさんありますね。
当たり前のことでも、理由も知ると「気をつけよう…」という気持ちが強まりますよね。
みなさんも食中毒知らずで楽しい季節をお過ごしください!
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